記念すべき1993年。米国にてトレーディングカードゲーム(TCG)という新しい概念が発売された。またたくまに大ヒットしたこのゲームは無数の後追い作品を生み出し、TCGは一大市場をつくりあげ、巨額のお金が動いた。
そしてときは流れ、26年以上たってもなおTCGの頂点に立つこのゲームの名は【Magic:the Gathering(M:TG)】という……
- 前口上
- 高騰する理由その1 希少価値
- 高騰する理由その2 すごく強い
- 高騰する理由その3 再録禁止 高騰する理由その4 ゲームそのものの人気
- 高騰する理由その5 投機マネーの流入
- ちょっと色気をだしてみよう
前口上
先だって
「α版の【Black Lotus】入荷しました。650万円です」→「買いました」→「あれ?これβ版だぞ。まちがってらー」→「無事α版に交換してもらいました」→めでたしめでたし
というのがTwitterでちょっと話題になっていました。
【Black Lotus】は3種類あって、一番高価なα版。その半額くらいのβ版。さらにその半額くらいのアンリミテッド版があっての。無事α版が購入者の手元に届いてよかったわい
650万円もあったらすごい自転車が買えるであります!
…ソレヲ…運ブタメノ自動車ダッテ…買エルゾ…
なんでカード1枚がそんな値段するのー!?
それを説明するにはM:TGの背景から解説せねばならぬの。というわけで今回はやってみよう!M:TGで資産運用の巻!じゃ
高騰する理由その1 希少価値
1993年8月 M:TGの先行限定発売としてα版が260万枚印刷され、即完売。
すぐに誤植を訂正したβ版が730~780万枚印刷され、これまた即完売。
1993年12月 アンリミテッド版発売。4000万枚印刷されたという。
α版260万枚のうち【Black Lotus】は1100枚印刷したといわれている
ふむふむ
大手トレーディングカード鑑定会社のPSAが鑑定できたα版の【Black Lotus】は100枚程で、今回の650万円【Black Lotus】もこのPSAの鑑定をうけている。そもそもの玉数が少ないんじゃな
そういえば以前に、壁のなかからスーパーマンの第一話が載っている雑誌がでてきて1700万円で落札されたことがありましたな!
高騰する理由その2 すごく強い
TCGで最強のカードを定義するのは難しい。M:TGもこの26年超で17000種類のカードが発行されているし、基本的に少年マンガの敵のようにカードの強さはインフレ傾向にある。それでも10人に聞いても10人が最強の9枚にあげるのがα版β版アンリミテッド版に収録されている【パワー9】じゃ
【Black Lotus】コスト0マナ 3マナ生み出す使い捨て
【Mox Emeraⅼd】【Mox Jet】【Mox Pearl】【Mox Ruby】【Mox Sapphire】コスト0マナ それぞれ毎ターン1マナでる宝物
【Time Walk】コスト2マナ もう1ターン得る
【Time Twister】コスト3マナ 手札を回復させる
【Ancestral Recall】コスト1マナ カードを3枚引く
そのなかでもくだんの【Black Lotus】が最強といわれているが【Black Lotus】だけデッキに入れていても絶対に勝てない
…?…
M:TGのカード(呪文)にはそれぞれコスト(唱えるために必要な値段)が決められていて、土地から出るマナ(お金)で支払って使われます。しかしこの土地は1ターンに1枚しか置けないので、基本的に1ターン目は1マナの呪文、2ターンめは2マナの呪文しか唱えられず、そしてもちろん大きいコストの呪文ほど強いです。
【Black Lotus】はいきなり3マナでるので強い呪文を1ターン目から唱えられることができるのです。
つまりそれだけでは勝つことができないけど、抜け道のようにいきなり強いカードを唱えることができるカードというわけで、他のカードとの組み合わせによっては1ターンキルも十分可能になる最強カードというわけだ
ほえー。んじゃみんなデッキにいれるんじゃない?
M:TGは17000超の種類のカードがあるが、それぞれのカード資産に沿ってできるだけ白熱した戦いができるように、なんでもありのヴィンテージから最近のカードしか使えないスタンダードまで5種類のフォーマットに分かれておる。【Black Lotus】は強すぎるのでなんでもありのヴィンテージでも1枚制限となっておるが、9割の人がデッキにいれているという
…需要ト…供給…
しかしながら、お店の大会とかだといらないカードにマジックペンで【Black Lotus】と書いて代用するのを認めているがの
高騰する理由その3 再録禁止 高騰する理由その4 ゲームそのものの人気
コレクターとしてはせっかく高額なカードを購入しても、再録されて市場に同じカードが出回って価値が暴落したらたまったものではないが、販売元のWizards of the Coast社は一部のカードに再録禁止を約束しており、コレクターも安心して集めることができる
絵柄が美しいカードは壁に飾っておきたくなるであります!
全世界で遊ばれていて、毎年世界大会もおこなわれており、これで食べているプロゲーマーも多数いるほどの人気っぷりだ
…日本デハ…Wizards of the Coast社ハ…デュエル・マスターズニ…少々力ヲ入レテイルヨウニ…見エル…
アニメもマンガも長いこと順調だし、ビジネスとして大成功しているしの。そういえばこの前デュエマのほうでもコラボで【ブラックロータス】がでてきたの。この会社はちょくちょくこのようなお遊びをしているぞ
高騰する理由その5 投機マネーの流入
悪いことではないのだろうが、近ごろM:TGのカード全般が高騰しているのは投機マネーが流入しているのではないじゃろか?
Wisdom Guildというカード価格を調べるサイトでちょっと見てみましょう。
【Black Lotus】のここ10年の値動きの平均がこちらです。ただしα版β版アンリミテッド版全部混ぜての平均価格になります。(前述したとおりβ版はα版の約半額。アンリミテッド版はさらにβ版の半額)
どこぞかの株のようにすごい勢いであがっていますが妙な山と谷がありますね…。
2018年~2020年を抜きだしてみます。
うまいこと買い占め→値上がり→売り抜けが決まったようです。まあその後も上昇傾向なので今回の【Black Lotus】購入者は数年遊んだあとに売却しても、おそらく儲けがでるのではと思います。
ちょっと色気をだしてみよう
そんな人のことより私の家にお宝は眠っていないのー!?
どれどれ、それではコレクションのなかでも何となく高そうなページを見てみるか
まずは上の段左の【裏切り者の都】であります!
…エグイ…斜度ニ…ナッテイル…
発売当初は何に使うかわからなくて100円レアとかいわれていたがのー。強いコンボが発見されたりすると一気に高騰したりするからのー。しかしこの山はなにが起きたんじゃろ?
次は上段真ん中の【Scrubland】ね!
優良銘柄じゃな。稼いでくれるぞ
…次ハ…4枚アル…【Tropical Island】…
(…ないしょで売ってしまいましょうか!)
次は真ん中の段左の【Bayou】
土地はどのデッキにも入るから高騰傾向にあるの。次はキレイな【Mox Diamond】じゃ
…全部売っちゃわない?
このページだけでそこそこのカーボンロードくらい買えそうじゃな。もちろん入手したころはこんな馬鹿みたいに高騰しておらず、だいたい10分の1くらいの価値だったと思う
儲かってよかったわね!
実際売却して利益確定するまでは儲けはでておらぬよ、売る気もないしの。しかしM:TG全体のことを考えるとカード価格が高騰するのは望ましくないのー
その心はなんでありますか!
【Scrubland】や【Tropical island】【Bayou】はデュアルランドといって定番カードというかレガシーというフォーマットではほとんど必須カードになっているのじゃが、いかんせん高価すぎて新規プレイヤーの参入を拒んでおる。会社にとってもよろこばしいことではないだろうし、この異常な高騰は内心苦々しく思っているだろうよ
ふーん。今からM:TGはじめるのは大変そうねー
いや、デジタルがよいのではないか?MTG Arenaなら無料でかなり遊べるぞい
無料ゲーにしてはずいぶん派手ねー。日本語対応はたすかるわねー
ハッキリ言って面白いのでぜひぜひ。このへんをきっかけに深淵たるM:TGの世界を覗いてみようぞ。あと投資を考えている方は投資信託やiDeCoもいいがM:TG投資もあるよということで今日はここまで
…チナミニ…世界デ…一番希少ナカードハ2枚…ギネスニモ載ッテイル…
うち1枚は1996世界選手権の優勝トロフィーに封印された【1996 World Champion】世界で1枚しか印刷されておらず、現在はなんと行方不明!もう1枚は渋谷DCIセンターオープンを記念して贈られた【Shichifukujin Dragon】こちらはホビージャパン社に保管されているので買収に成功したら手に入るであります!
(おしまい)