あれは小学生低学年の頃だったでしょうか。
夕方になって友達の家から帰る途中。ふと、
「こっちの道から帰ったら近道になるに違いない!」
と思った私は、なにも警戒することなくスッタカスッタカと細い路地に入っていくのでした…。
1 エントリーリストをながめてみよう!
エントリーリストがでましたな!
ランドヌール宮城では大入りの100人越えじゃな。しかも名の知れた猛者どもが集まってきたわい
1000㎞ト言エバ…ナゼカ…ヒャッハーナ…ブルベジャンキードモガ…集マッテ来ル…
①ブルベ沼に頭まで浸かっているランドヌール(ズ)のオフ会だから。
②ブルベは長ければ長いほど良いと思っているから。
③マグロみたいに走っていないと死んじゃう生き物だから。どーれだ?
(こんな方々にまざって走るのか…)
なんとなく見覚えのある小道を歩いていく小学生の私。
しかし、曲がり角をひとつ曲がっただけでガラリと見知らぬ風景になってしまいました。
ビックリして振り返ってみると、今まで歩いてきた道もまるで知らない道に見えます。
急に肌寒さを覚え、ズズッと鼻水をすすると、日の落ちてきた小道を駆けていくのでした…。
2 ホテルをとってみよう!
ベテランランドヌールは言いました。
『睡眠はすべてを解決する』
仮眠をとるにしても、道の駅のベンチでごろ寝とホテルのベッドで寝るのとでは、たとえ2~3時間だとしてもぜんぜん違うらしい。わしらのような初心者こそホテルをとるべきじゃな
とりあえずスタート地点の女川はアクセスが悪いので、石巻に前泊するであります!(1泊目)
ブルベは600㎞までは必要平均速度が15㎞/hじゃが、600㎞以降は11.4㎞/hに緩和される。今回のコースは510㎞地点の青森市のPC(Point of Control時間制限つきのチェックポイント)さえ乗りきれば、通過チェック(時間制限無しのチェックポイント)を2つはさんで、次のPCは大館市の729㎞地点。つまり青森市でちょっとゆっくりしてもその後巻き返せるのではないか?(2泊目)
問題ハ…510㎞ノPCデ…チェックヲ受ケテカラ…5~6㎞コースヲ…戻ルトイウコト…
やだー、往復10㎞以上も距離増やすのー。1000㎞が1010㎞になっちゃうー!
そのかわり奮発して838㎞地点の田沢湖でもホテルをとっておこうな(3泊目)
PCの場所を勘違いしてホテルをとってしまいました!田沢湖のPCでレシートをもらってから5㎞引き返してゆっくりするか、普通にオンタイムで動いて走行距離を無駄に増やさないかになります!(ボンクラ)
やだー、さらに往復10㎞以上も距離増やすのー。1000㎞が1020㎞になっちゃうー!!
結局は、510㎞青森のホテルまでは198㎞盛岡や400㎞八戸の銭湯でしのぐ。青森で寝たあとは729㎞大館のPCまで頑張る。838㎞田沢湖のホテルで仮眠したら、あとはのんびり行く作戦
問題ハ…792㎞ニヒカエル…標高953mト…961㎞ニヒカエル…標高762mノ…壁…
制限時間75時間。獲得標高8500mの旅が始まるであります!
コース名が『ウルトラフラット』ってなんなのよー!!
まったく知らない世界に迷い込んだ小学生くろみつ。今まで住んでいた世界とは別な世界だから、永遠に家には辿りつかないようにも思えます。
まったく知らない家の縁側から、カレーの匂いと、テレビを見ているのでしょう、まったく知らない家族の笑い声が聞こえてきます。
足元が見えなくなってきた暗闇の中、泣き出しそうになるのをこらえて、まったく知らない道を駆けていきます…。
3 練習してみよう!
『ブルベの練習はブルベでしかできない』ブルベ界でまことしやかに流れている格言じゃが、これは事実であるな
つまり、なかなか時間のとれないわれわれは負け確であると…
そんなことあるわけないじゃない!練習よ!
練習ダ…
まあ、準備も練習もできる範囲でやってみて、あとは『そのうちなんとかなるだろう』というテキトーさが必要じゃと思うぞ。ここまできたら肚ァくくれ!
息を切らせながら駆けていくと、少し大きな道路にぶつかりました。なんとなく既視感を覚えてキョロキョロすると、よくお使いにいくタバコ屋さんがありました!
そのときの感情を小学生には名付けることはできませんでしたが、今でしたら焦燥感と不安と絶望感からの爆発的な開放とでも名付けるでしょう。
親にすこたま(ものすごく)怒られるであろうことは薄々気づいているものの、無事に家に帰れる安堵感から足に力をこめてラストスパートをするのでした。
4 まとめ
小学生にはたった500mで大冒険になるのに、大人になると1000㎞走らなくてはいけなくなったのね…
ブルベはじめは200㎞でも冒険だったのに、距離感が壊れてくるであります!
大冒険ノ…ハジマリダゼ…
(ところで天気はどうなんじゃろな…?)
おしまい